中国法務の小窓(第12回)~中国ビジネスをあなたの手の中に~「指導性事例:契約法関連①」

弁護士 武田雄司

中国法務の小窓(第12回)~中国ビジネスをあなたの手の中に~「指導性事例:契約法関連①」

 

弁護士 武田雄司

 

第1 はじめに

 

前回に引き続き、類似事案の判断に関し下級審を拘束する効果すら与えられている、最高人民法院が指定した指導性事例を紹介していきたいと思います。

 

本稿では、契約法関係の事例についてご紹介致します。

契約法関係の事例は少し多かったことから2回に分けてご紹介します。

 

第2 契約法関係の指導性事例

 

1.指導事例1号(発布日時:2012/1/10

 

関連条文:契約法424

 

「契約法」

第424条  仲立契約は、仲立人が委託者に対し契約締結に係る機会を報告し、又は契約締結に係る媒介サービスを提供し、委託者が報酬を支払う契約である。

 

判断要旨:

 

不動産売買契約の仲立契約中、買主が利用中の仲介会社が提供した建物供給源の情報を、反対に、当該仲介会社と売主の締結する不動産売買契約に回すことを禁止する約定は合法・有効である。但し、売主が同一の不動産を数社の仲介会社で募集販売する場合には、買主はその他の公衆が知りうる正当な経路で同じ不動産の情報を取得した時には、買主は価格が低く、サービスがいい仲介会社を選択し売買契約を締結する権利を有し、当該行為は、以前に締結した仲介会社の不動産供給源の情報を利用したものではなく、違約責任は生じない。

 

2.指導事例33号(発布日時:2014/12/18

 

関連条文:契約法522号、58条、59

 

「契約法」

第52条  次に掲げる事由の1つがある場合には、契約は、無効とする。
(1) 一方が詐欺又は強迫の手段により契約を締結し、国の利益を損なうとき。
(2) 悪意により通謀し、国、集団又は第三者の利益を損なうとき。
(3) 適法な形式により不法な目的を隠蔽するとき。
(4) 社会公共利益を損なうとき。
(5) 法律又は行政法規の強制的規定に違反するとき。

 

第58条  契約が無効であり、又は取り消された後に、当該契約により取得した財産については、返還しなければならない。返還することができず、又は返還する必要がない場合には、価額評価して補償しなければならない。故意・過失のある一方は、相手方がこれにより受けた損害を賠償しなければならない。双方に故意・過失がある場合には、各自が相応する責任を負わなければならない。

 

第59条  当事者が悪意により通謀し、国、集団又は第三者の利益を損なった場合には、これにより取得した財産については、回収して国の所有とし、又は集団若しくは第三者に返還する。

 

判断要旨:

 

1.債務者が、主要な財産を明らかに不合理な低い価格で関係会社に譲渡した場合、関連会社が、債務者が無資力であることについて悪意であり、かつ、対価が未払の時は、債務者とその関連会社が悪意で通謀し、債権者の利益を損なった旨認定することができ、関連する財産譲渡契約は無効と認定しなければならない。

 

2.中華人民共和国契約法第59条は、第三者が財産所有権者である場合について規定しており、債権者が債務者に対して普通債権を有している場合には、中華人民共和国契約法第58条の規定に基づき、無効である契約により取得した財産を原財産所有者に返還させるよう命じなければならず、第59条の規定に基づき直接債務者の関連会社に対して、悪意で通謀し、第三者の利益を損なう契約により取得した債務者の財産を債権者に返還させるよう命じることはできない。

 

3.指導事例64号(発布日時:2016/6/30

 

関連条文:契約法39

 

「契約法」

第39条  様式条項を採用して契約を締結する場合には、様式条項を提供する一方は、公平の原則を遵守して当事者間の権利及び義務を確定し、かつ、合理的な方式を採用して相手方に対しその責任を免除し、又は制限する旨の条項に注意するよう喚起し、相手方の要求に従い、当該条項について説明をしなければならない。
様式条項は、当事者が繰り返して使用するため事前に作成し、かつ、契約締結の際に相手方と協議しない条項である。

 

判断要旨:

 

1.様式契約中、ある商品又はサービスの制限条件に対する明確な規定がなく、かつ、契約締結時に当該制限条件について明確に消費者に告知し、かつ、同意を得たことを証明することができないときは、当該制限条件は、消費者に対して効力を有しない。

 

2.電信サービス企業が契約成立時に、あるサービスの有効期限の制限の設定について消費者に告知せず、契約履行中に当該サービスの有効期限が徒過したことを以て、消費者に対してサービスを停止又は制限した場合には、債務不履行となり、債務不履行責任を負わなければならない。

 

以上

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