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オーストラリアビジネス法務(12)-Unfair contract terms-

弁護士 髙橋健

 

1.代理店/販売店保護の法規制について

 

 

今回は、豪州会社法から少し離れます。

 

 

よく日本企業が海外の企業と代理店または販売店契約を締結する場合(海外の会社が代理店・販売店となる場合)、その海外現地の代理店・販売店保護に関する法規制に注意すべきと言われます。

 

 

例えば、代理店・販売店契約を解消する際、代理店・販売店を保護すべく、容易に契約解除を認めない規定を設ける法律があったりします。

 

 

日本企業がオーストラリア市場で自社製品等を販売する際、オーストラリア現地の代理店や販売店と代理店・販売店契約を締結する場合、上記のような代理店・販売店保護の法規制がないか、気になるところかと思います。

 

 

今回は、そういった場合に検討すべき法規制の一つであるCompetition and Consumer Act 2010(Cth)(オーストラリア競争法&消費者法)の一部(Australian Consumer lawのUnfair termsの部分)を、簡単ではありますが確認してみたいと思います。

 

 

2.Australian Consumer Lawについて

 

 

(1)Australian Consumer LawとCompetition and Consumer Act 2010 (Cth)の関係

 

 

今回、取り上げるのは、Unfair termsというものですが、条文の構造がやや複雑ですので、まずその点を簡単に紹介します。

 

 

このUnfair termsとは、Australian Consumer Law(以下「ACL」といいます。)という法律の一部に定められているのですが、このACLは、独立して存在するのではなく、Competition and Consumer Act 2010(Cth)のSchedule2(別表2)に定められています。

 

このACLだけで、約300条もありますので、それが別の法律(Competition and Consumer Act )の別表に定められている、というのは、やや珍しいように思います。

 

 

そして、今回取り上げるUnfair termsは、このACLの第23条以下で定められています。

 

 

(2)Section 23:Unfair terms of consumer contracts and small business contractsについて

 

 

ACLの第23条第1項では、unfairな条件で、かつstandard form contractを用いてなされた消費者契約又はスモールビジネス契約(Small business contracts)の条項は無効となる、と定められています。

 

元々、この第23条第1項によって無効となる対象の契約は、消費者契約のみでしたが、法改正によりそこにスモールビジネス契約も追加されました。

 

 

そして、ここでいうSmall business contractsとはどのような契約のことを指すのか、を定めているのがACL第23条第4項及び第5項です。

 

そこでは大別して3つの要件が定められており、例えば契約時点で、少なくとも契約当事者の一方の従業員が20名以下であること、といった要件が規定されています。

 

 

(3)どのような場合に契約条件等がUnfairとされるのか

 

 

では、スモールビジネス契約において、アンフェアな条項として無効とされる場合とは、どのような場合でしょうか。

 

このアンフェア条項(Unfair terms)の説明は、ACL第24条及び第25条に定めがあります。

 

 

まず、ACL第24条(Meaning of unfair)において、Unfair termsの一般論(要件等)が定められています。

 

 

そして、ACL第25条(Examples of unfair terms)では、第24条の一般論を前提とした具体例が列挙されています。

 

その第25条の中に、『(b)  a term that permits, or has the effect of permitting, one party (but not another party) to terminate the contract』という具体例が定められています。

 

ここでは、一方当事者のみ契約解除できる旨の契約条項を一つのUnfair termsとあげています。

 

 

したがって、例えば、代理店・販売店契約の中で、継続的な契約関係になることを前提に多額の資本を投下した代理店や販売店を差し置いて、メーカー側のみに自由な契約解除条項を定めるような場合は、このUnfair termsに該当し得ることになります。

 

 

他方で、当事者双方に契約解除権を付与する契約条項であれば、この第25条(b)には直ちに該当しないものと考えられ、その場合の販売店保護は、このUnfair termsの問題からは離れた契約法の分野で個別具体的に検討されるものと思われます。

 

 

 

 

以上、簡単ではありますが、今回は、販売店・代理店保護法令との関係で、ACLに定められているUnfair termsをご紹介しました。

 

 

 

弁護士 高橋 健

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