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遺言者が在日韓国人である場合の録音による遺言

玄政和

-遺言の方式について適用される法律

日本の「遺言の方式の準拠法に関する法律」2条では,「遺言は,その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは,方式に関し有効とする。」とされ,同条2号では,「遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法」が挙げられています。

したがって,遺言をした方が韓国籍の場合は,韓国の法律の方式に従って作成された遺言も,日本国内で有効な遺言となります。

 

-韓国法における「録音による遺言」

韓国民法1067条では,日本にはない,録音による遺言の方式が定められています。

録音による遺言の要件は,遺言者が遺言の趣旨,その姓名と年月日を口述し,これに立ち会った証人が,遺言の正確であることと,その姓名を口述することです。

たとえば,遺言作成を希望している遺言者の判断能力には問題がないものの,急な容態悪化で,書面を作成している暇がない場合などに用いることが考えられます(ただし,後に相続人間で遺言能力をめぐってトラブルが生じかねないため,可能であれば,録音時の遺言者の容態や判断能力等について,医師の診断を受けておくことがベターといえます)。

録音した遺言は,日本における自筆証書遺言,秘密証書遺言と同様,検認が必要となります(韓国民法1091条)。遺言者の財産がすべて日本にあるような場合は,「手続は法廷地法による」という国際私法上の原則が適用され,日本の家庭裁判所で検認が可能です。日本の自筆証書遺言や秘密証書遺言と同様に,日本の家庭裁判所に検認の申立てを行い,家庭裁判所で,録音による遺言の検認調書を作成してもらうこととなります。

検認調書が作成されれば,この調書で,相続登記や,預金の引き出しなどの遺言執行が可能になります。

なお,ビデオによる録音も,前述の録音による遺言と同様の要件を満たす音声情報が含まれている限り,録音による遺言と同様に有効と考えられるとされています。

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