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韓国民法における代襲相続

玄政和

1 はじめに

 

日本国籍を有する方の相続の場合は,日本の民法に従い相続問題を処理することになりますが,日本国籍以外の国籍を有する被相続人の相続の場合は,法の適用に関する通則法36条において,「相続は,被相続人の本国法による」と定められていることから,当該国籍にかかる国の法律に従うこととなります。したがって,在日コリアンのうち,韓国国籍の被相続人の相続については,被相続人の本国法である韓国民法の定めに従うことになります。

 

2 韓国民法における代襲相続の規定

 

日本の民法では,推定相続人(将来相続が起こったときに遺産相続することが推定される人)である被相続人の子または兄弟姉妹が,相続の開始より以前に死亡,廃除,相続欠格により相続権を失ったときに,その者の子がその者に代って相続するという,代襲相続の制度が定められています(日本民法887条2項,889条2項)。

 

これに対し,韓国民法においても代襲相続が認められており,相続人となる直系卑属又は兄弟姉妹が,相続開始前に死亡したり相続欠格となった場合に,それらの者に直系卑属があるときには,その直系卑属は死亡者・欠格者 の順位に代わって相続人になるとされています(韓国民法1001条)。

 

前述の通り,日本民法では,子や兄弟姉妹の代襲相続人となるのは子とされているのに対し,韓国民法では「直系卑属」とされている点が特徴です。

 

また,日本民法と異なり,配偶者も代襲相続人となるという点に特徴があります。つまり,相続開始前に死亡したり,相続欠格となった者の配偶者は,直系卑属と同じ順位で,被代襲者(代襲相続される者)に代襲して共同相続人となり,同順位の直系卑属がいない場合には同じく被代襲者に代襲して単独相続人になるという規定が定められています(韓国民法1003条2項)。

 

ここで,代襲相続人となる配偶者は,法律上の婚姻をした配偶者でなければならないと解されています。また,配偶者が死亡した後に再婚した場合は,姻戚関係は消滅するとされているため(同法775条2項),この場合は代襲相続はできません。

 

なお,韓国民法では,日本民法と同様,直系尊属には代襲相続が認められていません。また,4親等以内の傍系血族(日本では法定代理人とされていませんが,韓国民法では法定相続人とされています)についても,同様に代襲相続は認められていません。

 

3 代襲相続の要件

(1)相続人が,相続開始前に死亡するか欠格者になっていること(韓国民法1001条,1003条2項)が必要です。具体例としては,相続人が故意に被相続人を殺害したといった,欠格事由に該当する場合が挙げられ(同法1004条1号),この場合は,相続人の直系卑属が代襲相続します。欠格の効果は相続開始時に遡及するため,相続の開始前に相続人が欠格者になった場合だけでなく,相続開始後に相続人に欠格事由(同法1004条)が発生した場合も,代襲相続が発生します。なお,韓国民法には,日本民法のような廃除の制度が定められていないため,日本民法と異なり,代襲相続の発生原因には含まれていません。

 

(2)代襲者は,相続人の資格を有していることが必要であり,代襲者が欠格者であるときは,代襲相続権はないと解されています。

 

4 再代襲相続

 

韓国民法では,日本民法と異なり,代襲相続をする者が,子ではなく「直系卑属」と規定されているため,(韓国民法1001条),被相続人の子に代襲原因が発生すれば孫が代襲相続し,その孫についても代襲原因が発生すれば,ひ孫が代襲相続する,という点にも注意が必要です。

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