宗教法人の知恵袋

納骨堂の経営許可について

納骨堂の経営許可について

弁護士 武田雄司

ポイント

1.納骨堂の経営には都道府県知事又は市若しくは特別区にあっては市長又は区長の許可が必要。

 

2.都道府県知事等許可権者には広範な行政裁量権が与えられており、正当かつ合理的な理由があれば許可しないことができる。

※永続性(安定的な経営・管理)の確保等の利用者の保護、需給バランスの確保、周辺の生活環境との調和等の公共の福祉との調整が重要のポイントであり、安定した適切な運営ができるか審査し、不適切な申請については利用者保護の観点から許可しないことも十分ありうる。

 

3.経営主体は、基本的には市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られる。

※名義貸しは当然不可。

 

4.各都市において、個別に設置距離規制や許可に関する細則が設定されている場合が多く、実際に申請する際は、各都市における調査が必要。

 

5.無許可経営については六箇月以下の懲役(又は五千円以下の罰金)の刑罰が設定されており、無許可経営に対しては実際に処罰されることも。

 

 

第1 はじめに

広い墓地を確保できない一方で、納骨を求める檀家さん等の要望に応えるために、納骨堂の建設をお考えになる宗教法人の方が増えてきたように感じます。

 

そこで、本稿では、納骨堂の経営に関する情報をまとめてご提供致します。

 

第2 納骨堂経営の許可について

1.定義

「納骨堂」とは、「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた施設をいう。」と定義されています(「墓地、埋葬等に関する法律」2条6項)。

 

焼骨を収蔵する施設であれば、限定的に運用しているもの(例えば、養護老人ホーム等の施設の身寄りのない者から依頼を受けてその者の死後に焼骨を収蔵・管理する場合)であっても、「墓地、埋葬等に関する法律」の適用があり、許可をとる必要があるため(厚生労働省HP: 納骨堂の許可について(昭和四三年一〇月二二日)(発衛第四四一号)(厚生省環境衛生課長あて鳥取県厚生部長照会))注意が必要です。

 

2.許可制

納骨堂を経営するためには、都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受ける必要があります(「墓地、埋葬等に関する法律」10条1項)。

 

3.許可基準

(1)厚生労働省の指針

許可基準については、少し古いものの、平成12年12月6日に厚生労働省(当時の厚生省)から「墓地経営・管理の指針等について」が公表されています。

当該指針等は、基本的には「墓地」の関する経営・管理指針とされていますが、後述する各都市における規制では、当該「墓地経営・管理の指針等について」を納骨堂の経営許可を出すか否かの判断基準としている都市も多く、納骨堂であっても、基本的には墓地と同様の基準で判断されるものと考えておくことがいいのではないかと考えています。

 

(2)許可側の視点・考慮要素

許可をする側である知事等が考慮するべき要素として次の点が挙げられています。

 

・ 正当かつ合理的な理由があれば許可しないことができる。安定した適切な運営ができるか審査し、不適切な申請については利用者保護の観点から許可しないことが重要。

・ 墓地埋葬法の目的は、墓地の管理及び埋葬等が「国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われること」。

・ 近年の火葬率の上昇にかんがみると、公衆衛生以外の部分、例えば墓地の永続性(安定的な経営・管理)の確保等の利用者の保護、需給バランスの確保、周辺の生活環境との調和等の公共の福祉との調整が重要。この調整は、諸般の事情を総合的に勘案して判断せざるを得ず、一律の基準を定めることが困難であるため、広範な行政裁量権に委ねられているもの。

・ 地方公共団体が墓地を設置経営することも重要な住民サービス。住民のニーズを十分に検討した上で、自ら設置、経営することを含めて、主体的にその要否を判断すべき。都市計画の中で墓地について配慮されることも重要。

 

(3)具合的許可基準

以上のような視点から、当該指針によれば、具体的な許可基準は次のとおりまとめられています。

・ 墓地経営者には、利用者を尊重した高い倫理性が求められること。

・ 経営・管理を行う組織・責任体制が明確にされていること。

・ 計画段階で許可権者との協議を開始すること。

・ 墓地経営主体は市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られること。

・ いわゆる「名義貸し」が行われていないこと。

・ 墓地の設置場所について、周辺の生活環境との調和に配慮されていること。

・ 安定的な経営を行うに足りる十分な基本財産を有していること。

・ 自ら土地を所有していること。

・ 中長期的収支見込みが適切で、将来にわたって経営管理が可能な計画を立てていること。

・ 基本的に標準契約約款に沿った明確な使用契約であること。

・ 契約に際し十分利用者に契約内容が説明されるようにすること。その前提として、契約書及び重要事項の説明書が作成されていること。

 

4.各都市における規制

各都市に許可権限等が委譲され、各都市において許可基準や提出書類を明確に規定した条例等が施行されています(各都市の状況は、総務省HPに掲載されている「地域における墓地埋葬行政をめぐる課題と地域と調和した対応に関する研究平成25年度  総括・分担研究報告書」(10枚目~)に詳しく記載されています。)。

 

例えば、京都市では、「京都市墓地、埋葬等に関する法律施行細則」、「墓地等の経営の許可等に関する規則」や「京都市墓地等許可取扱要項」(抜粋)の規定が公表されています。

 

墓地等の経営の許可等に関する規則」では、納骨堂の設置場所及び構造設備の基準が次のとおり定められています。

 

■設置場所の基準(別表第1

1 鉄道又は国道、府道その他交通の頻繁な道路に接近した場所でないこと。

2 病院、学校その他公共的施設又は人家若しくは集落に接近した場所でないこと。

3 飲料水源又は河川に接近した場所でないこと。

4 地形上危険な場所でないこと。

 

■構造設備の基準(別表2

1 周囲の景観と調和していること。

2 耐火構造又は準耐火構造とし、内部の設備には不燃材料を用いること。

3 消火及び防火のための設備を設けること。

4 換気設備を設けること。

5 出入口及び納骨設備は、施錠ができる構造であること。

6 納骨堂の周囲に相当の空地を確保し、かつ、植樹、塀等によって隣接地との境界を明らかにすること。

7 納骨堂の規模に応じた管理事務所、給水設備、ごみ処理設備、便所、駐車場及び休憩所を設けること。

 

以上のようなルールが各都市で設定されているため、個別に調査検討が必要になります。

 

5.罰則

以上の許可を受けずに無許可で納骨堂を経営した場合には、六箇月以下の懲役(又は五千円以下の罰金)の刑罰が設定されており(「墓地、埋葬等に関する法律」20条1項1号)、法定刑は重くはありませんが、無許可経営に対しては逮捕される事例(高槻市塚脇にある宗教法人で、2012年12月~2017年9月、寺院内に同市の許可なく納骨堂を設置し、男女3人から遺骨を預かる対価として計90万円を受け取った疑いで送検されている。記事によると、寺の関係者が2016年8月、警察に告発し発覚したということ。)があることからもわかるとおり、無許可経営をすることは厳に禁止されています。

 

6.周辺住民とのトラブル―取消訴訟の可能性

基準を充たし許可が受けたとしても、「住宅密集地での納骨堂建設を大阪市が許可したのは違法だとして、建設予定地の大阪市淀川区の住民ら10人が平成29年8月25日、市を相手取り、許可処分の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。」というニュースのとおり、周辺住民とのトラブルが高じて、取消訴訟を提起される可能性もあり得るところです。

 

実際の裁判例としても、納骨堂や墓地経営の許可をした市を相手に、許可処分の取り消しの訴えがなされた裁判が散見。

 

もっとも、いずれの裁判も、原告適格(裁判をする資格の問題)が認められずに却下される事例や(①平成12年3月17日/最高裁判所第二小法廷/判決/平成10年(行ツ)10号、②平成23年5月27日/福岡高等裁判所/第3民事部/判決/平成19年(行コ)33号)、原告適格は認められたものの、構造設備及び管理の基準等に関する条例が定める許可要件に適合しており、裁量権の逸脱・濫用はないとして、取消が認められない事例(平成22年4月16日/東京地方裁判所/民事第38部/判決/平成21年(行ウ)46号)であり、周辺住民の訴えが認めらえるハードルは相当高いようには感じます。

 

とはいえ、許可を得る過程において、周辺住民との十分な調整ができなければ、許可を得た後も、このようなトラブルが続く可能性がある点には十分に注意が必要になるところです。

以上

(弁護士 武田雄司)

代表役員解任の定めが規則上存在しない場合の代表役員の解任権限の所在

代表役員解任の定めが規則上存在しない場合の代表役員の解任権限の所在

 

弁護士 武田雄司

 

ポイント

1.代表役員解任の定めが規則上存在しない場合の代表役員の解任権限は、(特段の事情がない限り)代表役員の選任権限を有する者が有する。

 

2.法務局の扱いによっては、代表役員の解任の登記をするためには、先行して、解任権限を明確に規定した規則変更が必要である旨指導されることがあり得るものの、裁判例を示しながら協議をすることで、扱いを変更してもらえる可能性もあるため、諦めずに交渉する。

 

第1 はじめに

宗教法人の代表者の選任については、宗教法人法18条2項に「代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によって定める。」と規定されていることもあり、各宗教法人の規則に定めがなされていることも多く、また、定めがない場合でも、責任役員の互選によって定めがなされるため、選任権者について争いが起こることはあまり多くありません(もっとも、「互選」すべき「責任役員」がそもそも誰かという問題は、責任役員の任期切れや死去後何ら手続をしないこと等によって、生じることは比較的多いところです。)。

 

しかしながら、解任権については、宗教法人法に規定がなく、規則にも規定されていないこともよく見受けられることから、いざ解任をしようと思っても、どのような手順を踏めばいいかわからないといったことや、宗教法人の内部で代表役員の地位を巡って実際に争いが生じると、対立当事者がお互いに解任をし合う等、混沌とした状況もよく見受けられます。

 

そこで、本稿では、代表役員解任の定めが規則存在しない場合の代表役員の解任権限についてみていきたいと思います。

 

第2 裁判例

結論としては、規則で解任権者が定められていない場合には、代表役員を選任する権限を有する機関にあるものと解すべきと判断されています。

 

以下、具体的な事例をご紹介致します。

 

■昭和55年6月3日/東京地方裁判所/民事第8部/判決/昭和51年(ワ)7549

 

・解任された代表役員が宗教法人の解任決議及び新たな代表者の選任決議の無効の確認を求めた裁判

 

法人規則に代表役員解任の定めがないときに代表役員を解任し得る場合があるとしても、その権限が当然に責任役員会にあることの慣習ないし条理が存することの証拠はなく、むしろ、かかる場合、代表役員を解任する権限は、代表役員を選任する権限を有する機関にあるものと解すべきところ、被告にあっては、前示のとおり、被告の代表役員は、被告に所属する宣教師の互選により選定されるのであるから、代表役員を解任する権限も前記宣教師にあるものと解される。

 

⇒結論として、被告の責任役員会には代表役員を解任し、且つ新代表役員を選任する権限はないから、被告の責任役員会がした解任決議は無効

 

■平成27年8月31日/東京地方裁判所/民事第8部/判決/平成26年(ワ)26086

 

・被告の代表役員の地位にあると主張する原告が、被告に対し、その代表役員の地位にあることの確認を求めた裁判

 

(1)原告の解任決議

被告の平成26年3月13日付け臨時信徒総会(以下「本件信徒総会」という。)の議事録には、原告を被告の代表役員から解任し、その後任としてAを選任する決議をした旨の記載があり、被告の同年4月23日付け総代会(以下「本件総代会」という。)の議事録には、原告を被告の代表役員及び責任役員から解任する決議をした旨の記載がある。

 

(2)判断

被告の規則の中には、代表役員の解任権限の所在や解任手続についての定めは見当たらないところ、通常は、その選任権限を有する機関が解任権限をも有すると解されるのであり、被告の信徒総会が代表役員を選任する権限を有していないことは前記前提事実(※)のとおりであるから、信徒総会は代表役員を解任する権限も有しないというべきである。仮に被告の信徒総会に代表役員を解任する権限があったとしても、適法な手続の下において本件信徒総会が開催されて原告を代表役員から解任する決議がされたことを認めるに足りる証拠はない。

(※)被告の規則の定め

被告の規則には、下記の定めがある。

第5条 この法人に責任役員3名を置き、そのうち1名を代表役員とする。

第6条 代表役員は責任役員の中から互選する。

2.代表役員以外の責任役員は、総代の中から代表役員が選定し、任命する。

第15条 総代は3名とし、崇敬者の中から代表役員が任命する。

 

⇒結論として、解任決議をした信徒総会は、代表役員を選任する権限を有しておらず、解任決議は無効

 

第3 登記実務上の留意点

以上のとおり、裁判例上は、規則に代表役員の解任権者が明記されていない場合には、原則として代表役員の選任権者が解任権を有するものとして判断されています。

 

しかしながら、法務局における登記実務上は、慎重を期してか、規則上解任権の所在が明らかではない以上、代表役員の解任登記を行う前に、解任権の所在を明記した規則への変更を求める扱いもあるようです。

 

もっとも、解任の問題が顕在化している場面においては、改めて解任を争う者を含めて規則変更手続をとることは事実上不可能である場合がほとんどと思われます。

 

そのような場合には、上述の裁判例を示しながら、法務局と交渉し取り扱いの変更を求めていくことも一つの対応になりますが、実際に取り扱いを変更いただけることもあるため、法務局の指示は絶対と諦めずに、協議をする方法もあると頭に入れておいてもらえるといいのではないでしょうか。

 

以上

(弁護士 武田雄司)

宗教法人の解散(3) (清算手続)

1.はじめに

前回及び前々回では、宗教法人の任意解散及び法定解散について述べました。今回は、解散した宗教法人のその後の手続である清算手続について述べたいと思います。

 

2.清算手続

(1)清算人の選任

解散した宗教法人は清算手続に入ります(ただし,破産または合併による解散を除く)。そして、解散後の業務は清算人が行いますので、それまでの代表役員またはその代務者は、規則に別段の定めがない限り、退任することになり、清算人を選任することが必要となります。

まず、任意解散、規則で定める解散事由の発生による解散及び宗教団体を包括する宗教法人にあってはその包括する宗教団体の欠亡による解散の場合、清算人は①規則に定めがある場合はその者、②解散の際に、代表役員またはその代務者以外の者を選任したときは、その選任された者、③①または②によらないときは代表役員またはその代務者が清算人となります(宗教法人法49条1項)。なお,上記①~③により清算人となる者がいないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができます(宗教法人法49条2項)。

次に、所轄庁による認証の取消しによる解散及び裁判所の解散命令にの法よる解散の場合は、裁判所が所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することになります(宗教法人法49条3項)。

 

(2)解散登記・清算人就任登記及び所轄庁への届け出

清算人は、解散の効力が発生した時から2週間以内に、宗教法人の主たる事務所の所在地において、解散の登記及び清算人就任の登記をしなければなりません(宗教法人法57条、53条)。

また、清算人は、解散登記・清算人就任登記が完了したら、登記事項証明書を添えて登記が完了したことを所轄庁へ届け出なければなりません(宗教法人法9条)。

 

(3)清算人の職務

ア.清算人は、次の職務を行うことになります(宗教法人法49条の2)。

① 現務の結了

② 債権の取立て及び債務の弁済

③ 残余財産の引渡し

以下では、各事由について述べていきます。

イ.現務の結了

解散してからの事務(清算事務)を整理し、完了させます。

 

ウ.債権の取立て及び債務の弁済

清算人は、宗教法人が有している債権を取り立て、宗教法人の負っている債務の弁済を行います。

そのため、清算人は、宗教法人が知っている債権者には個別に債権の届け出を催告します。また、宗教法人が知らない債権者のために、清算人に就職した日から2か月以内に、少なくとも三回、官報での公告をもつて、債権者に対し、一定の期間(2か月以上の期間)を定めてその期間内に債権の申し出をすべき旨の催告をしなければなりません(宗教法人法49条の3)。

なお、清算人は、清算中に宗教法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければなりません(宗教法人法49条の5)。

 

エ.残余財産の引渡し

債権の取立て、債務の弁済が全て完了し、清算事務に要した費用を控除した後の財産、すなわち、残余財産を帰属権利者に引き渡すことにより、清算手続は終了することになります。

残余財産の帰属先は、①宗教法人の規則に定めがある場合は、規則で定めるところによります。また、②規則にその定がないときは、他の宗教団体又は公益事業のために処分することができます。さらに、上記①、②によって処分されない財産は、国庫に帰属することとなります(宗教法人法50条)。

 

(4)清算結了登記・所轄庁への届け出

清算人は、清算が結了したときは、清算結了の日から二週間以内に、宗教法人の主たる事務所の所在地において、清算結了の登記をしなければなりません(宗教法人法58条)。

また、清算人は、登記事項証明書を添えて所轄庁へ清算結了の届け出をおこないます(宗教法人法9条)。

これにより、宗教法人は完全に消滅することになります。

弁護士 荻野 伸一

宗教法人の解散(2) (法定解散)

1.はじめに

前回は、宗教法人の解散のうち、任意解散について述べましたので、今回は、宗教法人法が規定する事由(宗教法人法43条2項)に基づいてなされる法定解散について述べたいと思います。

 

2.宗教法人の法定解散事由

(1)法定解散事由

法定解散事由については、宗教法人法43条2項に以下の様に規定されており、これらの解散事由に該当したときは、所轄庁の認証を要することなく、解散手続に進むことになります。

① 規則で定める解散事由の発生(宗教法人法43条2項1号)

② 合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く。)(同項2号)

③ 破産手続開始の決定(同項3号)

④ 所轄庁による認証の取消し(同項4号)

⑤ 裁判所の解散命令(同項5号)

⑥ 宗教団体を包括する宗教法人にあっては、その包括する宗教団体の欠亡(同項6号)

以下では、各事由について述べていきます。

 

(2)規則で定める解散事由

宗教法人は、その規則で解散事由を定めておくことができます。なお、宗教法人設立時に、規則に解散事由の定めがなくても、規則を変更して解散事由を定めることもできますし、その反対に、規則に解散事由の定めがあっても、その事由の発生前であれば、規則を変更して解散事由をなくしたり、変更することができます。

規則に解散事由の定めがあるときは、解散事由が発生すると、その宗教法人は解散することとなります。

 

(3)合併

二以上の宗教法人は、合併して一の宗教法人となることができます(宗教法人法32条)。

合併によって消滅する宗教法人は、合併によって解散することとなりますが、この場合は存続する宗教法人が解散する宗教法人の権利義務を包括的に承継するため、解散する宗教法人は清算手続を行う必要がありません。なお、宗教法人の合併については別途述べる予定です。

 

(4)破産

裁判所によって破産手続の開始決定がなされると宗教人は解散することとなります。

宗教法人の破産原因としては、債務超過と支払不能(債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます)とが考えられます。なお、債務超過の場合は、代表役員またはその代務者は、直ちに破産手続開始の申立をしなければならず、その申立によって、裁判所は破産開始決定を行います(宗教法人法48条)。

 

(5)所轄庁による認証の取消し

宗教法人となるためには宗教団体であることが要件とされているところ(宗教法人法13条1項1号、39条1項3号)、この要件が満たされていないことが判明したときは、所轄庁は、当該認証に関する認証書を交付した日から一年以内に限り、当該認証を取り消すことができます(宗教法人法80条1項)。認証が取り消されると宗教法人は解散することとなります。

 

(6)裁判所の解散命令

裁判所は、一定の事由がある場合は、所轄庁、利害関係人または検察官から請求があったとき、請求が無くても職権で、宗教法人に解散を命ずることができます(宗教法人法81条1項)。具体的には次のような事由がある場合、解散命令の対象となります。

① 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと(宗教法人法81条1項1号)。

② 宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成するという宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたってその目的のための行為をしないこと(同項2号)。

③ 単立の宗教法人である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたってその施設を備えないこと(同項3号)。

④ 一年以上にわたって代表役員及びその代務者を欠いていること(同項4号)。

⑤ 宗教法人の設立または合併に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合で、当該宗教法人が宗教団体でないことが判明したこと(同項5号)。

 

(7)宗教団体を包括する宗教法人にあっては、その包括する宗教団体の欠亡

包括宗教法人(宗派、教派、司教区等)は、被包括宗教団体(寺院、神社、教会等。宗教法人となっていない宗教団体も含みます)がなくなった場合は、包括宗教法人の要件を欠くこととなりますので解散することになります。

弁護士 荻野 伸一

宗教法人の解散(1) (任意解散)

 

1.はじめに

宗教法人の解散とは、宗教人の目的である宗教活動を終了し、財産関係の整理を行う手続(清算手続)に入ることをいいます。解散した宗教法人は、清算の目的の範囲内において、清算手続が終了するまでは存続するものとされています(宗教法人法48条の2)。清算手続に入った宗教法人は清算業務のみを行い、清算手続が終了した時点で消滅することになります。

 

2.宗教法人の解散事由

宗教法人の解散には、宗教法人が自らの意思で解散する任意解散(宗教法人法43条1項)と宗教法人法が規定する事由(宗教法人法43条2項)に基づいてなされる法定解散とがあります。

 

3.任意解散

(1)はじめに

宗教法人は、任意に解散することができます(宗教法人法43条1項)。任意解散は以下のような手続によります。

 

(2)任意解散の内部手続

まず、規則の定めに基づく手続を経ることが必要となります(宗教法人法44条2項)。規則に別段の定めがない場合は、責任役員(会)の定数の過半数で決することとなります(宗教法人法19条)。

次に、信者その他の利害関係人に対し、解散に意見があればその公告の日から2か月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告します(宗教法人法44条2項)。なお公告は、規則に定める方法(宗教法人法12条1項11号)で行います。また、信者その他の利害関係人が期間内に意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しる必要があります(宗教法人法44条3項)。

 

(3)清算人の選任

解散後の業務は清算人が行うことになりますので、それまでの代表役員またはその代務者は、規則に別段の定めがない限り、退任することになりますので、清算人を選任することが必要となります。

清算人は、①規則に定めがある場合はその者、②解散の際に、代表役員またはその代務者以外の者を選任したときは、その選任された者、③①または②によらないときは代表役員またはその代務者が清算人となります(宗教法人法49条1項)。

 

(4)任意解散の認証手続

上記(2)の公告期間経過後に、所轄庁に任意解散の認証の申請を行うことになります(宗教法人法44条1項)。解散の認証申請に必要な書類は、①解散認証の申請書、②解散の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、責任役員(会)の定数の過半数の決議)を経たことを証する書類、③公告をしたことを証する書類となります(宗教法人法45条)。

所轄庁は、宗教法人から申請書を受理した後、審査を行い、手続が適法にさされたと認めたときは認証を行い、認証書を交付します。任意解散の効力は、認証書の交付によって生じます(宗教法人法47条)。

 

(5)解散登記・清算人就任登記

清算人は、解散に関する認証書の交付を受けた日から2週間以内に、宗教法人の主たる事務所の所在地において、解散の登記及び清算人就任の登記をしなければなりません(宗教法人法57条、53条)。

 

(6)所轄庁への届け出

清算人は、上記(5)の登記が完了したときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければなりません(宗教法人法9条)。

    弁護士 荻野 伸一

宗教法人の管理・運営(7) (宗教法人規則の変更―3)

1.はじめに

前々回、前回では、宗教法人の規則の変更が必要となる3つの場合(①通常の場合、②被包括関係の設定を行う場合、③被包括関係の廃止を行う場合)のうち、①通常の規則変更の場合、②被包括関係の設定を行う場合について述べました。今回は、③被包括関係の廃止を行う場合の規則変更について述べたいと思います。

 

2.被包括関係の廃止を行う場合の規則変更

(1)宗教法人内部の手続

被包括関係の廃止も規則の変更事項ですので、通常の規則変更や被包括関係の設定の場合と同様に、宗教法人の規則に定められている規則の変更手続に従って、被包括関係を廃止する旨の決定を行います。

その後、規則の変更の認証申請の2か月前までに、信者その他の利害関係人に対して、規則の変更案の要旨を示して被包括関係を廃止する旨を公告しなければなりません(宗教法人法第26条2項)。

この場合の公告方法は、規則に定める方法によります(宗教法人法第12条1項11号参照)。

 

(2)包括宗教団体に対する通知

また、被包括関係の廃止を行う場合には、上記2(1)の公告と同時に被包括関係を廃止しようとする包括宗教団体に対しその旨を通知する必要があります(宗教法人法第26条3項)。

なお、被包括宗教法人の規則に、被包括関係を廃止するには包括宗教団体の承認を要する旨の規定があったとしても、包括宗教団体の承認は必要ではありません(宗教法人法第26条1項)。このように、包括被包括関係の廃止について、被包括宗教法人が包括宗教法人の意思に拘束されないのは、信教の自由(憲法第20条)を尊重する立場から宗教法人の自主性を重んじたためです。

 

(3)包括宗教団体の調査

包括宗教団体は、上記2(2)の通知を受けると、被包括宗教団体において包括被包括関係廃止の規則変更手続が適正に行われたか否かを調査し、変更手続が適正になされていないと判断したときは、包括宗教法人の所轄庁及び文部科学大臣に通知することができます(宗教法人法第26条4項)。

 

(4)所轄庁の認証手続

宗教法人内部での規則変更手続が終了し、かつ、包括宗教団体への通知を行った後(ただし、上記2(1)の通り、認証申請を行うには、公告から2か月以上経っていることが必要です。)、所轄庁に規則変更の認証の申請を行うことになります(宗教法人法第26条1項)。

この認証申請を行う場合には、通常の規則変更の場合に提出すべき書類に加えて、上記2(1)で述べた公告をしたことを証する書類及び上記2(2)で述べた包括宗教団体への通知を行ったことを証する書類を添えて、認証申請を行ことになります(宗教法人法第27条3号)。

所轄庁は、認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を宗教法人に通知した後、当該申請に係る規則変更を認証すべきか否かの審査を行うこと(宗教法人法第28条)、当該申請に係る規則変更が要件を備えていると判断したときは、規則変更を認証する旨の決定を行わなければならないこと、これらの決定は当該申請が受理された時から3か月以内になされなければならないこと(宗教法人法第28条2項・第14条4項)等については、通常の規則変更の場合や被包括関係の設定の場合と同様です。

 

(4)被包括関係設定の効力発生

所轄庁が規則変更の申請を認証する決定を行い、認証書を宗教法人に交付した時に被包括関係設定の廃止の効力が生じることも(宗教法人法第30条)、通常の規則変更の場合や被包括関係の設定の場合と同様です。

 

(5)規則変更の登記

被包括関係の廃止は登記事項ですので(宗教法人法第52条2項4号)、登記を2週間以内に行わなければなりません(宗教法人法第53条)。

なお、この登記は対抗要件としての登記であり、被包括関係の廃止の効力自体は生じているのですが、それを登記しなければ、第三者には規則変更を対抗できないこと(宗教法人法第8条)も、通常の規則変更の場合や被包括関係の設定の場合と同様です。

    弁護士 荻野 伸一

宗教法人の管理・運営(6) (宗教法人規則の変更―2)

1.はじめに

前回は、宗教法人の規則の変更が必要となる3つの場合(①通常の場合、②被包括関係の設定を行う場合、③被包括関係の廃止を行う場合)のうち、①通常の規則変更の場合について述べました。今回は、②被包括関係の設定を行う場合の規則変更について述べたいと思います。

 

2.被包括関係の設定を行う場合の規則変更

(1)宗教法人内部の手続

被包括関係の設定は規則の変更事項ですので、通常の規則変更の場合と同様に、宗教法人の規則に定められている規則の変更手続に従って、被包括関係を設定する旨の決定を行います。

その後、規則の変更の認証申請の2か月前までに、信者その他の利害関係人に対して、規則の変更案の要旨を示して被包括関係を設定する旨を公告しなければなりません(宗教法人法第26条2項)。

この場合の公告方法は、規則に定める方法によります(宗教法人法第12条1項11号参照)。

 

(2)包括宗教団体の承認

また、被包括関係の設定を行う場合には、規則変更の認証の申請前に被包括関係を設定しようとする包括宗教団体の承認を受ける必要があります(宗教法人法第26条3項)。

 

(3)所轄庁の認証手続

宗教法人内部での規則変更手続が終了し、かつ、包括宗教団体の承認を得ると、所轄庁に規則変更の認証の申請を行うことになります(宗教法人法第26条1項)。

この認証申請を行う場合には、通常の規則変更の場合に提出すべき書類に加えて、上記2(1)で述べた公告をしたことを証する書類及び上記2(2)で述べた包括宗教団体の承認を受けたことを証する書類を添えて、認証申請を行ことになります(宗教法人法第27条)。

所轄庁は、認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を宗教法人に通知した後、当該申請に係る規則変更を認証すべきか否かの審査を行うこと(宗教法人法第28条)、当該申請に係る規則変更が要件を備えていると判断したときは、規則変更を認証する旨の決定を行わなければならないこと、これらの決定は当該申請が受理された時から3か月以内になされなければならないこと(宗教法人法第28条2項・第14条4項)等については、通常の規則変更の場合と同様です。

 

(4)被包括関係設定の効力発生

所轄庁が規則変更の申請を認証する決定を行い、認証書を宗教法人に交付した時に被包括関係設定の効力が生じることも(宗教法人法第30条)、通常の規則変更の場合と同様です。

 

(5)規則変更の登記

被包括関係の設定は登記事項ですので(宗教法人法第52条2項4号)、登記を2週間以内に行わなければなりません(宗教法人法第53条)。

なお、この登記は対抗要件としての登記であり、被包括関係の設定の効力自体は生じているのですが、それを登記しなければ、第三者には規則変更を対抗できないこと(宗教法人法第8条)も、通常の規則変更の場合と同様です。

弁護士 荻野 伸一

無縁墓地の処理(墓じまい)について③

1 無縁墓地の権利者の調査

 

無縁墓地ではないかと思われるお墓,お寺として撤去したいお墓があった場合,まずはそのお墓が真の意味で「無縁墓地」と言えるのか,つまり,そのお墓の権利者と言える人がいないのかという点を調査する必要があります。

 

この調査は,お寺が自分でやろうと思うと非常に難しいですが(他人の戸籍などを取得することは,原則としてできませんので),弁護士に依頼すれば,弁護士に認められた権限により,このような調査を実行することは容易です。弁護士は,そのお墓の永代使用契約書に記載されたもともとの利用者(権利者)の住所氏名から,その権利者の住民票から戸籍をたどり,その権利者が逝去されていた場合は,その相続人が誰で,どこに住んでいるのかという情報を,戸籍や住民票で確認できる限り,調査することが可能です。

 

2 権利者がいなくて,正真正銘の無縁墓地であった場合

 

このようにして調査した結果,お墓の権利者がすでに逝去されており,その相続人も一人もいないという場合は,そのお墓について,行政上の手続をとった上で,撤去をしても(本当は,相続財産管理人などを選任して撤去に応じてもらうのが法的にはベストですが,そのための費用もかかることから現実的には難しいと思われます),現実的にはどこからもクレームができることがないと考えられます。

 

3 権利者が見つかった後の対応

 

しかし,実際には,相続人が1人もいなくて,正真正銘の無縁墓であるということは極めて稀であって,遠い親戚が相続人になっているというケースの方が多いものと思われます。

 

では,このような場合,つまり,「無縁墓地だと思っていた墓地の権利者が見つかった場合」にはどのように対応すればよいでしょうか。

 

まずは,お寺としては,この権利者に対して,未払いになっているお墓の管理料の支払いを求めるとともに,権利者に対し,今後も管理料を支払ってお墓を維持していく気持ちがあるかどうかを尋ねることになります。これによって,権利者が,もう墓は撤去してもらって構わない(お骨だけ,納骨堂に入れさせてほしい,というようなお願いもあるかもしれません),と言ってくれた場合は,永代使用権の不存在確認書面といった合意書面を締結したうえで,お墓の撤去のために必要な行政上の手続をとれば,これでパーフェクトです。

 

他方で,この権利者が,「未払いの管理料は支払うから,お墓は残しておいてほしい」と言ってきた場合は,そのお墓は「無縁墓地ではなくなった」ということになりますので,永代使用契約の解除は非常に難しく,原則として,そのお墓は残しておかないといけないことになります(どうしても撤去をお願いしたいときは,その権利者とお話し合いをしていくこととなります)。

 

さて,問題は,「管理料は支払わないが,お墓は残しておいてほしい」と言われた場合ですが,この場合はなかなかやっかいな問題が出てきます。というのは,一般的な永代使用契約書には,管理料を支払わない場合は永代使用契約を解除できるということが書かれているのですが(書かれていない場合はなおさら),裁判例では,永代使用契約については,一般の土地家屋の賃貸借契約と同じように,「お互いの信頼関係が破壊されたときに初めて解除ができる」という考え方を取っています(平成28年9月21日東京地裁判決はこの法理に立ちながらも解除を肯定しました。)。また,永代使用契約においては,管理料とは別に,契約時に,そこそこ高額の永代使用料を一括して支払っており,まるでその土地を墓地利用者が「買った」かのような意識が権利者側にはあるということもよくあります。したがって,管理料を支払わなかっただけで,信頼関係破壊が認められるのかという論点が生まれることになるわけです。上記の東京地裁の判例では,管理料に近しいような性質の護寺会費を20年分支払わなかったことで解除が認められていますが,5年ならどうか,3年ならどうかという点について明確に示した裁判例は見当たりませんでした。

 

いずれにせよ,管理料を支払わないという態度の権利者には,裁判を起こして何も反論が出なければ永代使用契約の解除が認められることになりますが,裁判を起こして反論が出た場合は,しっかりとお寺側の主張立証を行わなければ,簡単に解除が認められるとまでは言えないことになります。

 

墓じまい,無縁墓地の処理についてのお話は,ひとまずここまでとさせていただきます。

 

弁護士 牧野誠司

 

 

宗教法人の管理・運営(5) (宗教法人規則の変更)

1.はじめに

宗教法人の規則は、宗教法人の目的、組織、管理運営の根本原則を定めるものです。そのため、宗教法人の規則と宗教法人の運営とは常に一致させておくことが必要です。しかしながら、規則の作成時からの時間の経過やその他の事情の変更等により、規則の変更が必要となる場合があります。規則の変更が必要となる場合としては、①通常の場合、②被包括関係の設定を行う場合、③被包括関係の廃止を行う場合、が考えられますが、以下では、①通常の場合の規則変更について述べたいと思います。

 

2.通常の場合の規則変更

(1)はじめに

通常、規則変更が必要となる場合としては、責任役員の定数の変更、事務所の移転、宗教法人が公益事業や公益上業以外の事業を開始する場合(宗教法人法第6条参照)等が考えられます。

このような規則変更を行う場合には、大きく分けて2つの手続、すなわち、①宗教法人内部の手続、②認証手続が必要となります(宗教法人法第26条1項)。

 

(2)宗教法人内部の手続

宗教法人法は、宗教法人の「規則の変更に関する事項」を規則に定めるべきものとし(宗教法人法第12条1項9号)、また、宗教法人が規則を変更する場合は、「規則で定めるところによりその変更のための手続をし」なければならないとしています(宗教法人法第26条1項)。

具体的に、どのような内部手続が必要となるかは、各宗教法人の規則の定めるところによりますが、一般的には、①責任役員(会)の議決、②総代(信徒代表)の同意、③宗派の代表役員の同意(被包括宗教法人の場合)等を要すると定められていることが多いと思われます。

 

(3)所轄庁の認証手続

宗教法人内部での規則変更手続が終了すると、所轄庁に規則変更の認証の申請を行うことになります(宗教法人法第26条1項)。

この認証申請を行う場合には、①認証申請書(所轄庁に認証申請書のひな形が用意されているのが通常です)、②規則「変更しようとする事項を示す書類」を2通、③「規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類」を所轄庁に提出します(宗教法人法第27条)。

所轄庁は、認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を宗教法人に通知した後、当該申請に係る規則変更を認証すべきか否かの審査を行うことになります(宗教法人法第28条)。所轄庁が審査を行うのは、①その変更しようとする事項が宗教法人法その他の法令の規定に適合していること、②その変更の手続が宗教法人法第26条の規定に従ってなされていること、の2点(宗教法人法第28条1項1号、2号)で、規則の変更内容の当否には及びません。

所轄庁は、当該申請に係る規則変更が上記2つの要件を備えていると判断したときは、規則変更を認証する旨の決定を行わなければなりません。また、所轄庁が当該申請に係る規則変更が上記2つの要件を備えていないと判断したときは、規則の変更を認証しない旨の決定をすることになります(宗教法人法第28条1項)。なお、これらの決定は当該申請が受理された時から3か月以内になされることになっています(宗教法人法第28条2項・第14条4項)。

 

(4)規則変更の効力発生

通常の規則変更は、所轄庁が規則変更の申請を認証する決定を行い、認証書を宗教法人に交付した時に効力が生じます(宗教法人法第30条)。

 

(5)規則変更の登記

通常の規則変更の手続は、所轄庁から認証書の交付を受けて完了しますが、規則変更の対象となる事項が宗教法人法第52条2項各号に記載されている事項(例えば、宗教法人の目的、名称、事務所の所在場所等)である場合は、その事項を変更する旨の登記を2週間以内に行わなければなりません(宗教法人法第53条)。

なお、この登記は対抗要件としての登記であり、規則変更の効力自体は生じているのですが、それを登記しなければ、第三者には規則変更を対抗できないこととなります(宗教法人法第8条)。

また、登記した後は、「遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければな」りません(宗教法人法第9条)。

    弁護士 荻野伸一

 

無縁墓地の処理(墓じまい)について②

前回の,「無縁墓地の処理(墓じまいについて)①」では,無縁墓地を処理(墓じまい)する際の,行政上の手続をご説明いたしましたが,行政上の手続ができればそれでOKというわけではなく,そもそも,大前提として,その墓地の使用権(多くの場合,「永代使用権」)を保有している人との民事上の権利関係を整理する必要があります。

 

つまり,その墓地について,「使用権」を有している人がいる場合は,いくら「行政上の手続」をしっかり行っても,墓を撤去したりしたら違法になるというとです。

 

高松高等裁判所平成26年2月27日判決 平成25年(ネ)第317号の案件は,まさにそのような案件でして,お寺の側は,あるお墓を「無縁墓地」だと判断して,行政上の手続を実施すれば墓を撤去しても良いと考えて,行政上の手続はしっかりと実施して墓を撤去したわけですが,その後,お墓の所有者から訴えられて,結局,金370万円もの損害賠償を支払わなければならないという判決を受けてしまいました。

 

したがって,「無縁墓地」は,行政手続を取りさえすれば撤去してよいというのは誤解であって,まずは,それが本当に無縁墓地なのかをしっかりと調査確認したうえで,その墓地についての権利者と思われる人に対して,使用権の根拠となる契約の解除通知を送るなどして,民事上の権利を消してから,行政上の手続をするのがベストということになります。

 

次回は,この,「無縁墓地かどうかの調査」と,「使用権の解除」について説明させていただきたいと思っております。