貸付地の管理について(2)|宗教法人の知恵袋

貸付地の管理について(2)

1.地代の考え方

前回(「貸付地の管理について(1)」をご参照ください。)で述べた通り、貸付地の地代が、当該貸付地に課される固定資産税額及び都市計画税額の合計額の3倍の金額以下であれば、土地の賃貸は「不動産貸付業」に該当せず、非収益事業と判定される結果、法人税は課されません。また、地代が固定資産税額及び都市計画税額の合計額の3倍の金額を超えると、地代に法人税が課されるだけではなく、以下に述べる更新料、譲渡承諾料、条件変更料等についても課税されることとなります。

したがって、この固定資産税額及び都市計画税額の合計額の3倍の金額が、まずは賃料額を考える際の基準となります。

なお、借地期間中の地代の改定についてですが、固定資産税・都市計画税は3年毎に改定されますので、この改定にあわせて地代の改定も3年毎に行うこと(その旨を契約書に定めること)が考えられます。

2. 更新料

更新料とは、借地契約や借家契約において、その賃貸借契約が期間満了によって終了するときに、その契約を更新するために、更新のいわば対価として賃借人から賃貸人に対して支払われる一時金のことをいいます。この更新料については法律上の規定はなく、首都圏や近畿圏の一部の地域(京都府等)等で古くから慣習として支払われているものです。

もっとも、更新料の支払は上記のとおり、法律に定められたものではありませんので、当事者間で合意がなければ更新料の支払いを請求することはできません。

この更新料の相場は、賃貸している土地の更地価格の2~3パーセント程度と言われています。

なお、更新料の支払の特約の有効性については、以下のような判例があります。

借家契約に関するものですが、賃貸マンションの更新料について、当該更新料の合意が消費者契約法10条に規定する「消費者の利益を一方的に害するもの」に当たって無効となるかが問題となった事案です。この事案で、最高裁判所は「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り」、消費者契約法10条にいう「消費者の利益を一方的に害するものには当たらないと解するのが相当である」と判示しました(最判平成23年7月15日)。

この最高裁判所の判決は、借家に関するものですので、借地の場合にもそのまま妥当するかは定かではありません。

3.譲渡承諾料(名義書換料)

譲渡承諾料(名義書換料ともいいます。)とは、借地権を譲渡したり、転貸したりすることの承諾の対価として、賃借人から賃貸人に支払われる金銭をいいます。

借地権は、地価の上昇とともに、特に都市部においては借地権の価値が底地の価値を上回る等、現在においては借地権の重要性が格段に増しており、借地権自体を取引の対象として売買することもあります。しかし、借地権を譲渡するためには、地主(賃貸人)の承諾を得なければならないのが原則であることから(民法612条1項参照[1])、譲渡承諾料を地主に支払って承諾してもらうことになります(ただし、譲渡承諾料の支払が行われていない地域もあります)。

譲渡承諾料の相場は、地方によって異なりますが概ね借地権価格の5~10パーセント程度と言われています。

なお、借地権が譲渡されても地主に不利になるおそれがないにもかかわらず、地主が譲渡を承諾しない場合には、借地人は裁判所に申し立てて、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ることができ、その際に、承諾料に相当する金銭の支払いを求められることがあります(借地借家法19条参照)。

4.条件変更料

条件変更料とは、借地条件を変更(借地上の建物の種類や構造の変更等)する際に、借地人から地主に支払われる金銭をいいます。

この条件変更料の相場は、借地の更地価格の10パーセント程度と言われています。

なお、この条件変更についても、地主と賃借人との間で協議が整わない場合は、裁判所に申し立てて、裁判所から条件変更の許可を得ることができ、その際に、条件変更料に相当する金銭の支払いを求められることがあります(借地借家法17条1項・3項参照)。

5.増改築の承諾料

増改築の承諾料とは、土地の賃貸借契約に、その土地上の建物の増改築を制限する規定がある場合に、建物増改築についての地主の承諾の対価として、賃借人から地主に支払われる金銭をいいます。

この増改築の承諾料の額ですが、どのような増改築が行われるかによって異なります。

なお、この増改築についても、地主と賃借人との間で協議が整わない場合は、裁判所に申し立てて、裁判所から増改築の許可を得ることができ、その際に、増改築の承諾料に相当する金銭の支払いを求められることがあります(借地借家法17条2項・3項参照)。

弁護士 荻野伸一


[1] 民法612条1項は、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」と規定しています。