宗教法人の管理・運営(2)(宗教法人の機関の選任・解任等について)|宗教法人の知恵袋

宗教法人の管理・運営(2)(宗教法人の機関の選任・解任等について)

前回は、宗教法人の機関の概略について述べましたが、今回は宗教法人の機関の選任・解任等について述べたいと思います。

 

1.責任役員の選任について

宗教法人法には責任役員の選任に関する規定はなく、「代表役員、責任役員(中略)の任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限(中略)に関する事項」を記載した規則を作成しなければならないとし(宗教法人法12条1項5号)、責任役員等の選任については各宗教法人が定めることとしています。

したがって、責任役員、代表役員の選任は宗教法人の規則に従ってなされることとなります。

なお、規則に責任役員の選任方法について定められていないときは、慣行や申し合わせ等によらざるを得ず、また、代表役員の選任方法が定められていない場合は、責任役員の互選によって決めることとなります(宗教法人法18条2項)。

 

2.責任役員の退任、辞任、解任について

責任役員の退任、辞任、解任について、宗教法人の規則に定めがある場合にはその定めに従うこととなります(宗教法人法12条1項5号参照)。

しかし、規則に定めがない場合は、宗教法人と責任役員との関係は委任契約ないしは準委任契約と解されますので、民法の委任ないし準委任の規定に従うこととなります。

まず、退任についてですが、退任とは一定の事由の発生によって当然に責任役員の地位を失うことをいい、退任事由としては、任期の満了、死亡・破産手続の開始決定(民法653条)等があります。

次に、辞任とは責任役員が自己の意思に基づいて任期の途中で責任役員の地位を退くことをいいます。責任役員は、宗教法人の規則に制限がない限り、いつでも辞任することができますが、宗教法人に不利な時期に辞任をし、そのために宗教法人が損害を被った場合は、やむを得ない事由が無い限り、その損害を賠償しなければなりません(民法651条)。また、辞任後、後任者の職務執行が可能となるまでは、規則に定めがある場合はそれに従い、規則に定めがない場合でも、緊急に処理を要する事項がある場合には、その処理を行う等しなければなりません。

最後に、解任とは責任役員の意思にかかわりなく、その任期中に、責任役員の地位を失わせることをいいます。解任についても、規則に定めがある場合はそれに従わなければなりませんが、定めがない場合は民法の委任契約の解除に関する規定(民法651条)に従うこととなります。また、責任役員を解任する場合の宗教法人内部の手続きとしては、規則に定めがある場合はそれに従いますが、規則に定めがない場合は、「宗教法人の事務」として、「責任役員の定数の過半数で決」することになると考えられます(宗教法人法19条)。なお、この場合の責任役員の議決権は各々平等です(同条)。したがって、責任役員会において、解任しようとする責任役員を除く責任役員の過半数の決議により、責任役員の解任を決めることとなります。

以上のとおり、責任役員の退任、辞任、解任のいずれについても、宗教法人の規則に定めがある場合はそれに従い、定めがない場合は民法の委任ないしは準委任に関する規定に従うこととなるのが原則です。

 

3.代務者の選任、退任について

代務者とは、代表役員や責任役員が何らかの事情により欠けた場合や長期間職務を行うことができない場合に置かれる代行者です(宗教法人法20条)。

代務者の選任方法については、宗教法人の規則に定めなければならないとされていますので(宗教法人法12条1項5号)、代務者の選任については規則の定めに従ってなされることとなります。

また、代務者の任期についてですが、代務者の任期は代務者を置くこととなった事情が存続している間となりますので、その事情がなくなれば任期は終了し、代務者は当然に退任することとなります。

 

4.仮代表役員、仮責任役員の選任、退任について

仮代表役員及び仮責任役員は、代表役員や責任役員の個人の利益と宗教法人の利益とが対立するような場合に、宗教法人の運営が宗教法人の利益に沿って行われるようにするために置かれる機関です(宗教法人法21条)。

仮代表役員及び仮責任役員の選任方法については、宗教法人の規則に定めなければならないとされていますので(宗教法人法12条1項5号)、仮代表役員及び仮責任役員の選任については規則の定めに従ってなされることとなります。

また、仮代表役員及び仮責任役員の任期は、選任の理由となった利害相反事項が処理されれば終了し、そこで退任することとなります。

弁護士 荻野伸一