弁護士 森下裕

著作権のハナシ④(写り込み・写し込みで適法になる範囲が広がりました)

今では、Twitter、Facebook等、様々なプラットフォームを活用してネットでの生活を楽しまれている方が多いと思います。こういったプラットフォームは便利な反面、画像や映像を投稿することで、著作権侵害の可能性が出てきます。

例えば、自分で写真を撮って、なんか少し寂しいと思ったので、ネットで拾ってきた画像を印刷して額縁に飾っておしゃれな感じに演出したら、いきなり、その画像を使うのは著作権侵害なので、〇〇万円払ってください!と連絡が来ることもありえます。

 

そこで本日は、インターネット上に画像などを投稿する際の注意点をご説明したいと思います。

 

1 インターネットへの画像の投稿は著作権侵害になる?

著作権法では、誰かが作った創作的な物(法律上「著作物」と言います。)について、その物を作った人に、他人に複製されない権利、改変されない権利、インターネット上で公開されない権利などを認めています。これらの権利を侵害する場合には、作った人から使用許諾を得なければなりません。

ですので、例えば有名なキャラクター画像をそのままTwitterなどで公開することは原則として著作権侵害にあたり、キャラクターの著作権者にインターネットで公開しても良いかの許諾を得る必要があります。

 

2 写り込み・写し込みって何?

では、少し広げて見てみましょう。

キャラクター画像を印刷した物またはキャラクターのぬいぐるみを持った子供を写真に撮ってTwitterなどに投稿する場合はどうなるでしょう。

この場合も、原則としては、著作権侵害となりますが、「写り込み・写し込み」として許諾が不要になる場合があります。

 

「写り込み」とは、写真などをとる時に、著作物が偶然に入り込んでしまった場合であり、「写し込み」とは、例えば故意にキャラクター画像を持たすことなどの場合です。

 

3 写り込み・写し込みが適法になる場合は?

この「写り込み・写し込み」は著作権法30条の2で許諾が不要とされる場合を定められています。

その要件は、

①複製伝達行為(写真をインターネットに載せる行為や生配信など広く含みます)

②正当な範囲内の利用

となります。

このうち、②の正当な範囲内の利用と言えるかは、

 

ⅰ)利益を得る目的の有無

ⅱ)分離の困難性の程度

ⅲ)作成伝達物において付随対象著作物(写り込んだ著作物)が果たす役割

 

を考慮して決められます。

 

4 インターネット上に画像等を投稿する際の注意点

正当な範囲内の利用であれば、インターネット上にアップすることも許諾を受けずに自由にできます。そのため、冒頭であげたように、〇〇円支払って!と言われても、支払う必要はありません。

一般の方がキャラクターのぬいぐるみを持った子どもを、日常系のアカウントに投稿する場合にはその考慮要素であるⅰ)利益を得る目的は無いでしょうから、実際上あまり問題にはならないでしょう。

しかし、TwitterやFacebook等をご自身の運営しているお店の宣伝に使われる方も多いと思いますので、その場合には、ⅰ)利益を得る目的はあるでしょう。この場合には、その著作物を写し込むことで利益を増やす目的という観点に気をつけなければなりません。

その他、ⅱ)分離の困難性の程度とⅲ)作成伝達物において付随対象著作物(写り込んだ著作物)が果たす役割については具体的には以下のような視点に注意が必要です。

ⅱ)については、壁に張り付いている剥がせない物なのか、ぬいぐるみなど物理的に映らなくさせることができる物なのかという視点です。

ⅲ)については、その著作物の人気にあやかるつもりなのか、可愛い子供をもっと可愛くするためなど補助的な物なのかという視点です。

 

法律上、明示されている考慮要素はⅰ)ⅱ)ⅲ)なのですが、実はⅳ)として、「その他の要素」という物が設けられています。ですので、画像に占める割合や、映像であれば写っている長さなども考慮要素に入ってくると考えられます。

この要件は令和2年の改正で定められたものなので、もっと具体的な考慮要素は今後の判例の集積が待たれるところです。

しかし、結局は総合的に考慮して「正当な範囲内」と言えるかどうかですので、投稿者の「悪意」が見られない写り込みは実際には問題にならないと私は考えています。

 

ただ、「写り込み・写し込み」に当たるかどうかは漠然と広い要件になっていますので、最終的に迷ったら、弁護士に聞いてみることをオススメいたします。

 

 

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