弁護士 森下裕

著作権のハナシ⑤~写真の著作権~

近年、携帯電話をもっていない人はほとんどいないと思いますし、その携帯電話にカメラがついていないこともほとんどいないと思います。

デジタルカメラの普及に伴って、だれもが簡単に多くの写真を取ることができ、また、デジタルデータのため、簡単に誰かに送ったり、SNSで公開したりと写真の進化は凄まじいものがあります。

 

写真には、写真を撮った人に著作権が認められます。自動証明写真やプリクラなどの自動写真や平面的な絵画などを忠実に写真に撮った(コピーのような写真)については著作権が発生しないと考えられていますが、これら以外の写真には構図等に創意工夫があれば著作権が認められています。つまり、ほとんどの写真には著作権が認められると考えてもよいでしょう。

 

そのため、誰かが撮った写真を無断でコピーしたり、使用した場合は、著作権侵害となります。

 

では、同じような構図で同じ被写体の写真を撮った場合に著作権侵害となるのでしょうか。

 

判例は、廃墟写真事件(知財高裁平成23年5月10日判決)で、「廃墟写真」と同一の被写体を撮影して写真を作成し、それらの写真を掲載した書籍を出版・頒布した行為について、著作権侵害を認めませんでした。

 

同判例によると、「著作物について翻案といえるためには,当該著作物が,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えたものであることがまず要求され」、本件の原告の写真は「被写体が既存の廃墟建造物であって,撮影者が意図的に被写体を配置したり,撮影対象物を自ら付加したものでないから,撮影対象自体をもって表現上の本質的な特徴があるとすることはできず,撮影時季,撮影角度,色合い,画角などの表現手法に,表現上の本質的な特徴があると予想される」としています。

つまり同じような写真を撮る場合で著作権侵害となるには、撮影時季,撮影角度,色合い,画角などの表現手法が一致し、表現上の本質的な特徴が同一でないといけないことになります。

同判決では、植物の映り込みや、写真の色等が異なると認定していますが、ほとんど同じ写真を撮ることというのは、実際は困難に近いですので、自分で撮った写真が著作権侵害になることはあまりなさそうですね。

弁護士 森下裕のその他のコラム

一覧で見る