弁護士 武田雄司

中国法務の小窓(第1回)~中国ビジネスをあなたの手の中に~「没問題は有問題?」

中国法務の小窓(第1回)~中国ビジネスをあなたの手の中に~「没問題は有問題?」

弁護士 武田雄司

 

HPをリニューアル後、コラムを充実させようと弁護士間で誓い合ってから早いもので約2ヶ月が経過しようとしています。。。考え込んでも始まらない、ということで、熟考して書いたものから思いつきのレベルのものまで様々登場すると思いますが、このコラムが、弊所のHPにアクセスいただく一つのきっかけになることを目標に、中国法務に関する話題を中心にコツコツ書いていきたいと思います。

 

まずは記念すべき一つ目。(残念ながら)熟考していないタイプからのスタートです。

 

日本の企業文化に馴染んでいない中国の方と、日々ビジネスのやり取りをする方、例えば、中国内資企業(中国資本の企業)と取引をされている企業の交渉担当者、自社工場の現地スタッフと日々直接やり取りをされている方等は、毎日少なくとも1回は次のセリフが込み上げてきていないでしょうか。

 

「それ、前に問題ないって言ってたじゃないですか。。。」

 

日本では、「問題ない?」「大丈夫です!」「本当に大丈夫?」「えー、やっぱり最終、もう一度確認をしてから報告します。。。」というやり取りがあるところ、中国では、「問題ない?」「没問題![メイ ウェン ティ](問題ない=大丈夫です!)」「本当に大丈夫?」「没問題!(問題ない=大丈夫です!)」と力強く返してくれます。そのため、そう言うのだったら先に進めましょうか、ということになりますが、実は、後にほぼ相当な確率で「有問題[ヨウ ウェン ティ](=問題アリ)」であったことが発覚することになり、いつものお決まりのセリフとなるわけです。

 

「それ、前に問題ないって言ってたじゃないですか。。。」

 

お決まりのセリフの後の会話もやっぱり日本と異なります。

日本だと、「すみません、すみません。。。すぐに確認して対応します!」ですが、中国だと、「取引先の担当者の○○さんが~と言っていたからね。今度は××部長に聞いたから没問題!」「今度は本当に大丈夫?」「没問題!」と力強く返してくれます。「あ~それじゃぁ…」。以下、繰り返し。

 

こうならないためには、①誰に確認するのか、②何を確認するのかがとても重要ですが、それぞれのポイントは、質問を「具体化」をすることです。

 

①について、よく「政府の人がこう言ってたから没問題!」という発言を聞くことがありますが、「政府」とは、どこの部門の、どの役職の方なのか、確認したい事象についてどのような権限を持っている方なのかという点は最低限確認をするべき事項ですし、もしこういう人がいるよという紹介を受けたとすると、最初にその方に相談をするべきなのか(直接の担当者を飛び越えてしまう場合、担当者の面子を潰さないのか。)ということも慎重に検討をしないといけません。

 

②については、「問題ないか」という抽象的な質問ではなく、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように(5W1H)の要素を全て確認した上で、問題があるか否かの判断は責任を持って自分で行う、という態度が重要になります。

事情・案件の理解度の問題、語学的な問題等から、このような具体的な質問ができないため、とりあえず日本的感覚で「問題ない?」とだけ聞いておこうという心境の方がいらっしゃるとすると、そのお気持ちは大変よくわかりますが、それで済ませようとすると、負のスパイラルからはいつまでも抜け出せないことになってしまいます。

以上の注意は、もちろん日本においても重要な事項ですが、中国では特に意識をすべき事項になるため、さぁこれから中国に!という方は特に頭の片隅にでも置いておいていただきたいというお話でした。第1回はここまで。

弁護士 武田雄司のその他のコラム

一覧で見る