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【交通事故法務の基礎知識⑨】消滅時効・除斥期間

【交通事故法務の基礎知識⑨】消滅時効・除斥期間

今まで【交通事故法務の基礎知識】の中でご説明してきた通り,交通事故に遭われた場合,加害者に対して,事故の結果生じた損害についての賠償を請求することができます。

 

しかしながら,交通事故の後,損害賠償請求をせずに一定期間が経過すると,加害者に対して,損害賠償を請求することができなくなります(後述の通り,法律上,消滅時効又は除斥期間と言います)。

 

今回は,交通事故による損害賠償請求権についての消滅時効・除斥期間について,解説させていただきます。

 

1 時効期間・除斥期間

 

交通事故による損害賠償については,被害者が「損害及び加害者を知った時から3年間」権利を行使しないときは,加害者に対し,請求することができなくなります(これを法律上,消滅時効と言います。民法724条前段)。

 

また,「不法行為の時」,つまり交通事故の時から20年経過したときも,加害者に対し,交通事故による損害賠償を請求することができなくなります(これを法律上,除斥期間と言います。民法724条後段)

 

2 起算点

 

上述の通り,消滅時効の起算点は,「損害及び加害者を知った時」とされていますが,この条文の解釈については,以下の通り,判例が出ています。

 

まず,「加害者を知った時」とは,判例上,「加害者に対する損害賠償請求が事実上可能な状況のもとに,その可能な程度にこれを知った時」を意味するとされています(最判昭和48年11月16日民集27・10・1374)。

具体的には,被害者が加害者の氏名,住所を確認したときには,「加害者を知った時」ということができますので,通常の交通事故では事故日が起算点になるものと思われます

 

また,「損害を知った時」とは,判例上,「被害者が損害の発生を現実に認識した時」を意味するとされています(最判昭和46年7月23日因習25・5・805,最判平成14年1月29日民集56・1・218)。

具体的には,

物損による損害については,事故日

傷害による損害については,事故日

死亡による損害については,死亡日

後遺障害による損害については,症状固定日

がそれぞれ起算点になるということができます。

 

 

3 時効の中断

 

以上の通り,交通事故による損害賠償請求権は,行使しないまま一定期間が経過すると,消滅時効又は除斥期間により,請求できなくなります。

 

もっとも,消滅時効については,下記の事由があった場合には,消滅時効の完成を中断させることができます(これを法律上,時効の中断と言います。)。

 

①請求

 

「請求」とは,裁判上の請求,つまり,法的手続により請求することを意味しますが,例えば,訴訟を提起した場合には,裁判所に訴状を提出した日に時効は中断します。

 

なお,法的手続を取らずに,裁判外で請求することを法律上「催告」と言いますが(例えば,内容証明郵便で,加害者に対して損害賠償を請求することなどがこれに該当します),この催告については,催告をしてから6か月以内に訴訟の提起などの裁判上の請求を実施しなければ,時効を中断させることはできません

 

②債務の承認

 

「債務の承認」とは,加害者が交通事故による損害賠償請求権の存在を認めることを言いますが,加害者が被害者に対して損害賠償請求権の存在を認めた場合の他,加害者が被害者に対して損害賠償請求権の弁済を行った場合もこれに該当します。

 

 

(弁護士 野田 俊之)

 

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