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車両放置のリスク―車検拒否制度について

車両放置のリスク―車検拒否制度について

■ポイント


1.車検拒否制度とは、放置違反金を滞納して公安委員会による督促を受けた者は、車検時に、放置違反金を納付したこと又は徴収されたことを証する書面を提示しなければ自動車検査証の返付を受けることができない制度


2.対象者は、放置違反金の納付命令を受け、納付期限までに納付しなかったために、公安委員会から、放置違反金の納付命令の督促を受けた者(督促を受けて支払った者も対象者)


3.以下の2つのケースでは車検拒否制度は適用されない


①車検前に、督促を受けた者(甲)が自動車を買い替える等によって、放置違反金が科せられた際に甲が所有していた自動車(X車)ではない自動車(Y車)の車検を行う場合


②車検時に、放置違反金が科せられた際に甲が所有していた自動車(X車)の名義が甲から乙に変更されており、乙がX車の車検を行う場合

 

第1 はじめに

 

車両放置のリスクとして、放置違反金を科せられるリスクについては、「車両放置のリスク―放置違反金制度について」で解説を致しましたが、本稿では、車両放置のリスクとして放置違反金制度と同時に、平成18年6月1日から施行された車検拒否制度について解説致します。

 

第2 車検拒否制度の概要

 

1.制度目的・概要


放置違反金の自主的な納付を促すことを目的に、放置違反金を滞納して公安委員会による督促を受けた者は、車検時に、放置違反金を納付したこと又は徴収されたことを証する書面を提示しなければ自動車検査証の返付を受けることができない制度(=このため、結果的に車検手続が完了しません。)が平成18年6月1日から施行されています。

 

この制度をいわゆる「車検拒否制度」といいます。(道路交通法第51条の7)。

 

2.根拠法令


「道路交通法」

(放置違反金等の納付等を証する書面の提示)

第五十一条の七 自動車検査証の返付(道路運送車両法第六十二条第二項(同法第六十七条第四項において準用する場合を含む。)又は総合特別区域法(平成二十三年法律第八十一号)第二十二条の二第三項の規定による自動車検査証の返付をいう。以下この条において同じ。)を受けようとする者は、その自動車(道路運送車両法第五十八条第一項に規定する自動車をいう。)が最後に同法第六十条第一項若しくは第七十一条第四項の規定による自動車検査証の交付又は自動車検査証の返付を受けた後に第五十一条の四第十三項の規定による督促(当該自動車が原因となった納付命令(同条第十六項の規定により取り消されたものを除く。)に係るものに限る。)を受けたことがあるときは、国土交通大臣等に対して、当該督促に係る放置違反金等を納付したこと又はこれを徴収されたことを証する書面を提示しなければならない。

2 国土交通大臣等は、前項の規定により同項の書面を提示しなければならないこととされる者(前条第二項前段の通知に係る者に限る。)による当該書面の提示がないときは、自動車検査証の返付をしないものとする。

 

3.対象者


放置違反金の納付命令を受け、納付期限までに納付しなかったために、公安委員会から、放置違反金の納付命令の督促を受けた者

 

※「道路交通法」第51条の4第13項

公安委員会は、納付命令を受けた者が納付の期限を経過しても放置違反金を納付しないときは、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない。この場合において、公安委員会は、放置違反金につき年十四・五パーセントの割合により計算した額の範囲内の延滞金及び督促に要した手数料を徴収することができる。

 

したがって、督促を受けても支払っていない者はもちろん、督促を受けて支払った者、滞納処分を受けた者も当然に含まれることになります。

 

4.適用の限定

 

車検拒否制度は、車検対象となっている「当該自動車が原因となった納付命令…に係るものに限」り適用される制度です。

 

そのため、車検前に、督促を受けた者(甲)が自動車を買い替える等によって、放置違反金が科せられた際に所有していた自動車(X車)ではない自動車(Y車)の車検を行う場合には、車検拒否制度は適用がありません。

 

また、車検時に、放置違反金が科せられた際に甲が所有していた自動車(X車)の名義が甲から乙に変更されており、乙がX車の車検を行う場合においても、乙は、そもそも公安委員会から、放置違反金の納付命令の督促を受けた者に該当しないため、車検拒否制度の適用はありません。

 

5.督促に係る放置違反金等を納付したこと又はこれを徴収されたことを証する書面

 

納付方法に応じ、次の書類が「督促に係る放置違反金等を納付したこと又はこれを徴収されたことを証する書面」に該当します。

 

①「領収書」

:自動車の使用者が金融機関又はコンビニエンスストアの窓口で放置違反金等を納付したときに返付されるもの

 

②「納付・徴収済確認書」

:滞納処分により放置違反金等を徴収されたとき又は「領収書」を紛失し警察署等に申請したときなどに自動車の使用者に交付されるもの

 

京都府警のHPでは、次の案内がありますので、必要に応じて参照ください。

 

① 事前照会について

⇒自動車が車検拒否の対象か否かを事前に確認することができます。

 

車検拒否対象の場合及び納付書の再発行について

⇒納付未了の方が納付をするために納付書を再発行する手続等が記載されています。

 

納付・徴収済確認書の交付について

⇒納付・徴収済確認書の交付申請先等が記載されています。

 

以上

(弁護士 武田雄司)

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