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【韓国相続】兄弟姉妹が他の兄弟姉妹の家族関係証明書等を委任なしで取得できるか

玄政和

韓国の「家族関係の登録等に関する法律」(가족관계의 등록 등에 관한 법률)では,2017年10月31日に改正がなされる前までは,基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書・入養関係証明書・親養子入養関係証明書(※日本の現在戸籍謄本の一部に相当するもの)や,従前の韓国「除籍謄本」に関する交付請求権者について,第14条第1項で以下のように定められていました。

第14条(証明書の交付等)
① 本人又は配偶者,直系血族,兄弟姉妹(以下,本条においては”本人等”と言う)は,第15条に規定された登録簿等の記録事項に関して発給可能な証明書の交付を請求することができ,本人等の代理人が請求する場合には本人等の委任を受けなければならない(以下,但書の部分省略)

しかし,2017年10月31日の改正により,「兄弟姉妹」の文言が削除されました。

つまり,従前は,証明書の対象者である「本人」以外であっても,配偶者,直系血族,兄弟姉妹の関係にある親族であれば,本人からの委任を受けることなく,本人各の証明書の交付請求を行うことができることとされていました。

ところが,韓国国内での裁判において,兄弟姉妹の証明書を請求できる法律は,「個人情報自己決定権を侵害するものである」として違憲であるとの主張がなされ,2016年6月30日,家族関係の登録等に関する法律第14条第1項の請求権者のうち,兄弟姉妹の部分につき,憲法裁判所で違憲決定がくだされました。このため,2016年6月30日以降は,家族関係登録などに関する法律第14条第1項の請求権者のうち「兄弟姉妹」の部分が,違憲決定によりその効力が喪失されました。2017年10月31日の改正は,この違憲決定を受け改正されたものであり,「兄弟姉妹」の部分の効力自体は,2016年6月30日の時点で喪失されていることとなります。

これにより,これまでは,本人の同意がなくても,配偶者・直系血族・兄弟姉妹は本人の家族関係証明書等を発給してもらうことが可能であったにもかかわらず,2016年7月1日からは,本人からの委任がなければ,原則として兄弟姉妹が他の兄弟姉妹の家族関係証明書等登録事項別証明書を直接請求することが出来なくなりました。この決定を受け,駐日韓国総領事館でも,翌7月1日から,兄弟姉妹が他の兄弟姉妹の登録事項別証明書を直接請求することはできなくなっています。

この決定以降,相続人が兄弟姉妹のみであるような事案では,相続人調査,確定のための資料の確保に苦慮する等,少なからず混乱が生じており,また,領事館での運用も必ずしも統一されていないように思われます。今後,相続人が兄弟姉妹のみであるような事案においては,家族関係証明書等の取得について,特例的な運用がなされることが期待されます。

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